彫刻セミナーとは?
先日、彫刻セミナーの「一般セミナー」クラスに参加してきた。
彫刻セミナーとは、片桐裕司先生が開催する粘土造形講座で、三日間かけて本格的な粘土造形を学ぶ会である。
(なんと、先生はあの「パシフィック・リム」のロボ造形にも関わっていた方なので……”本物”だ……)
彫刻セミナー公式サイトはこちら
http://chokokuseminar.com/
「一般セミナー」クラスというのは、この彫刻セミナーに初めて参加する人がまず最初に受ける授業で、設備の使い方や創作に対する理念なども含めてレクチャーが行われる。造形経験者であっても、私のような完全素人でも、まず最初にこのクラスを受けることとなる。
なお、この記事で扱うのは彫刻セミナーで習う技術的な内容の記録ではなく、私自身の気付きについてのメモだ。
具体的にどんな流れで講座が進むのかは、以下の記事が参考になるのでそちらを参照されたし。
https://digihams.com/chokoku_ippan01/
セミナーの流れや、講座の内容がよくまとまっている記事です。
メンタルブロックの解除
私の創作に対する考え方が大きく変わったのは以下のタイミングだった。
3日目、表情の付け方についての講義が終わったあとのこと。
私は先生に「先生、ムスッとした感じの表情を作りたいんです」と言った。
すると、先生は「うん。じゃあ作ろう」とだけ返した。
私は数秒ポカーンとした。
私は「いいよ」という許可の言葉や、「じゃあまずヘラを持ってここをこうして…」という指導を期待していたのだと思う。
しかし、よく考えたらおかしなことだ。
『なぜ私は、私が「作りたい」と思ったものを作ることに、誰かの許可がいると思っていたのか?』
そのことに気付いた瞬間、私は自分を恥じると同時に、何かがふっ切れた。
たぶん、これこそが片桐先生のおっしゃるところの「メンタルブロック」だったのだと思う。
私たちのほとんどは、義務教育過程で徹底的に「許可を得ること」について教え込まれる。
起立や着席、授業、休憩、遊戯、食事、挙句の果てには排泄のタイミングまで。
許可を得なければ何をすることも許されない環境で9年間を過ごす。
自分では何も考えられない、自分が何をしたいのかさえわからない中身のない人間のできあがりだ。
……話が逸れた。
私は数秒間放心し、それから上記のようなことを考えたのち、こう答えた。
「はい、作ります!」
それからというもの、私の作品に対する向き合い方が変わった。
粘土が足りないと思った部分には遠慮なく盛りに盛り、気に入らない部分は遠慮なく削ぎ落とした。何度でも、心のままにやり直した。
作品を作ったことがある人にならわかっていただけると思うが、すでに出来上がっている部分を崩すのには抵抗があるものだ。
しかし、それさえも過去の自分に変更の許可を乞うているだけだとわかった。
自分の心の制約に、自分自身で気付くことは難しい。
今回、セミナーを受けて本当に良かったと思う。
技術的な部分はもちろんだが、精神的な面でもたくさんの発見があった。
制作過程
一応、記録として私の作品の写真を載せておく。
今回モデルとして選んだのは、褐色の肌にグリーンの瞳が印象的なアメリカの某俳優さんだ。

1日目の終わりに撮った写真。この時点ではまるでジャガイモに芽が生えたかのよう。

2日目の途中、向かって右半分に先生からスクレーパーでザクーーー!!と大きく修正が入った。
スクレーパーで大胆に削るという発想が全くなかったので最初は驚いたが、削ったほうがちゃんと人間になっている。不思議だ。

2日目の終わりに撮った写真。坊主頭のせいか、どことなく某お笑い芸人さんに似ている。なんて日だ。

3日目、完成図。ムスッとした表情をつけ、目の位置を何度も修正し、服を着せ完成となった。

いま見返してみると、後頭部から肩にかけての厚みが薄すぎる。作っている最中は顔に夢中で気付かなかった。後日にでも修正したい。
まとめ
創作に携わる人たち、趣味や仕事関係なく、好きなはずだったのになぜか苦しくなっている人たちにおすすめできるセミナーだった。
新たな知見を得られるだろう。
以上。